おやじの つぶやき

2003年11月17日(月) 天気は 雨/曇り ***
つぶやきファンの方から、次のようなメールが届きました。
『ところで今回の来日?帰国?で、「パスポートを受け取り・・・」の件がありましたね。海外に長く在住の方のパスポートは、
申請の仕方とか、システムなど違うのでしょうか。使うチャンスが滅多にない者にとって、興味津々です。
「つぶやき」で教えていただければと思います』

海外で生活する場合は、その国にある日本大使館に在留届を出します。(3ヶ月以上滞在の場合は、提出義務があります)
我々の場合は、首都のベルンの日本大使館です。
パスポートが切れる前に、日本の本籍地から「戸籍抄本」などの書類を取り寄せ、現在のパスポート、顔写真などを添えて、
日本大使館で継続の申請をすると、約2週間(だったかな?)で、新しいパスポートを受け取る事が出来ます。
費用は、日本と同額のスイスフランとなりますし、5年用、10年用と同じようにあります。
ですので、パスポートの有効期限が切れるからといって、いちいち日本に帰らなくても、滞在地で更新できるのです。

今回は、アメリカに行く事情がありました。
アメリカではテロの影響で、今までビザ(滞在許可証)不要の国民にも、ビザを必要とするお達しを出しました。
ただ、日本のパスポートで機械で読み取りの出来るパスポート(「機械読み取り式旅券」という)であれば、ビザの取得不要
ということでした。
我々のパスポートはベルンの大使館で取得したものですが、これら海外の大使館で取得したパスポートは機械では読み
取りが出来ないものなので、アメリカ大使館にてビザの取得が必要となるのです。
ベルンにある、アメリカ大使館に電話連絡すると「今年一杯まで予約で一杯。無理です!」とのこと。
「ええええ〜。今年一杯!? 不可能?」と驚きました。しかも、ビザの取得に予約が必要なんですよ!
もちろん、アメリカに行くのは、我々だけでなく、スイス人も、スイスに住んでいる外国人も行くでしょうし、そんなに多くの人々
がビザを必要とする事になってしまったのです。(テロのおかげで、、、、)

日本大使館のホームページで探していると、同じ大使館でも「機械読み取り式」のパスポートを発行してくれる大使館が
いくつかありました。ヨーロッパでは、ローマ(イタリア)、ハーグ(オランダ)、デュッセルドルフ(ドイツ)、パリ(フランス)、
そしてロンドン(英国)の5つの大使館だけでした。
これら大使館で最も近いのが、パリです。(それでも、グリンデルワルトから電車で片道約7時間ほどかかります)
しかし、どこも平日のみしかオープンしていません。
学校を休みたくない子供たちは、土曜か日曜日しか行けません。
ところが、丁度、もうすぐ学校が秋休みになるので、その休みを待ってから長男と家内は、パリにパスポートを申請しに
1泊2日で行くことにしました。
(長男は、アイスホッケーの試合を見るためにアメリカのシカゴに行くことになっていました)
パリの日本大使館では、電話での応対も親切で、「通常は約1週間かかるところですが、事情が事情だけにあらかじめの
予約をして頂いたら、即日に発行します」とのことでした。
(ちなみに、ベルンなどの「機械読み取り式旅券」を取り扱っていない大使館で申請すると、現在のパスポートを一旦日本に
送り返し、そのあと新しいパスポートが送り返してくるので、約1〜2ヶ月かかるとのことでした)

私と長女は、一足お先に日本へ行き、横浜で開かれるJATA世界旅行博に出展しなければならず、時間的にパリに行くの
では間に合いません。(私と、家内と、長女は、グァムに行くことになっていました)

私と長女は、二人だけで成田に着きました。
かねてから、国際電話とインターネットで調べていたので、某都道府県(あえて名前は伏せます)の旅券事務所に向かい
ました。
本来、パスポートの更新手続きは、現住所のある都道府県でしか扱ってくれないのですが、海外在住で「一時帰国」であれ
ば、現住所が日本には無いので(ですから、海外に在留届を出してあります)、どこの都道府県でも取り扱ってくれるとの事
でした。

某都道府県の旅券事務所に着き、
「一時帰国でパスポートの更新をしたいのですが」と聞くと、
私が用意した申請書類を確かめながら、「4番の窓口です」と、言われました。
その際、スイスで写した顔写真のうち、長女のものが「ちょっと顔が小さいな〜」とは、言いながらも「4番です」と女性。
4番の窓口で、別の係員が出てきましたので、
「一時帰国ですが、パスポートの更新をしたいのです」と言いながら、種類を提出しました。
若い男性は、なぜか
「お住まいは、どちらですか?」と聞きます。
「実家は大阪ですが」と答えると、
「こちらでは働いていらっしゃらないんですか?」と。
「ええ。海外に住んでいますから」と、私。
「でも、こちらに住んでいるという何か証明書か、出張で来ているというような証明書がないと、作れないんですが。。。」
「しかし、ホームページで見ましたし、電話でも確かめましたが、海外在住だと、一時帰国として、どこの旅券課でも作れる
と、お聞きしたのですが」と、私。
ふと、男性が
「一時帰国ですか!? じゃ、OKです。出来ます」と、言う。
”な〜んじゃ! さっきから、言ってるじゃないか〜! 一時帰国だって!”(ちょっとカチンとくる)

で、書類を見ながら、ふと写真のところで手が止まりました。
一生懸命、定規で写真の大きさ、顔の大きさを測っています。
「お父さんの写真は、髪の毛が立っているので、なんとかなりそうですが、娘さんの写真では顔が小さいので、これでは
規定よりも小さいので、許可が出ませんが」と。
(写真を撮るときに、髪の毛をムースでトンガラせておいて、良かったな〜、と思う私)
「なんとか、無理ですか?」と聞きながらも、確かに長女の顔は小さく写っているな〜と、私も思ったので、
「分かりました。じゃ、今から撮ってきます」と言い、事務所の前にある写真屋さんで撮りました。
(こんなところは、日本は便利ですね〜。スイスじゃ、こうは行かんでしょうね。
ちなみに、スイスの写真屋さんで撮る時は、横向き、笑顔で、と写真屋さんが注文をつけますが、「日本のパスポートは
それじゃだめなの!」と言って、わざわざ(?)難しい顔をして撮らねばなりません。
ただでさえ怖い顔が、ますます怖くなってしまうので、私は日本の写真は嫌いです!。笑)

新しい写真を持って、再び受付に並びます。
先ほどと違う女性が居て、用意した書類を確かめながら「はい。4番の窓口に行って下さい」と、言います。
(今度は、写真には何も言いませんでした)
4番の窓口には、さきほどの若い男性の姿はなく、別の中年の女性が居ました。
「先ほど、こちらで申請しようとしたら、子供の写真の顔が小さい、ということで、撮り直してきました」と、告げました。
女性は、
「一時帰国ですか?」と、不思議そうに言いながら、
「ちょっとお待ちください」と、奥の事務室に入りました。
窓ガラス越しに、事務所の中で、女性と別の年配の女性が話しこんでいます。
”何を 話ししているんだろう?”と、不思議な私。
で、出てきた年配の女性が
「どのような用件でしょうか?」と、聞くので、もう私の緒(我慢)が切れました。
「さっきから、同じことばかり言わせるんじゃないですよ!。一時帰国です。パスポートを更新したいんですよ!」
「どうなってるんですか! ここは?」と。
この興奮に、年配の女性がビビリまして、
「はい。承知しました!」と、私が手渡した書類を見ます。
今度は、私の写真に定規をあてて。顔の大きさを測っています。
”さっき、OKだったんだから、もういいじゃないか〜!”と、心の中で、私は怒鳴っています。
そして、
「少々お待ちください」と言いながら、再び事務所の中へ。
”どうなってんじゃい、ここは・・・・?”

それから、10分ほどして、戻ってきた年配の女性は、
「では、お預かりします。7番の窓口で引換証をお渡しします」と、言いつつ、
「大変お待たせして申し訳ありません」と、言うのでした。
(何度も同じこと言わせるから、腹が立つんじゃい〜!と、思う私でした)

さらに、10分ほど待って、7番窓口で名前を呼ばれ、引換証をもらったのです。
ここまで、この旅券事務所に到着してから、約2時間近くかかったのです。
申請がやっと終わりました。
ヤレヤレ。これが、スイスから飛行機で12時間揺られて成田に到着後の作業ですからね。
身体も疲れているし、頭の中はぼ〜とするし、、、、、。
その後、舞浜に行きました。(夜の花火まで見てきました。このタフさ加減には、私も長女もビックリ!)

1週間後、再び私と長女の二人は、同じ某都道府県の旅券事務所に来ました。
あらかじめ収入印紙などを購入し、用紙も用意していましたので、すぐに「受け取り窓口」に引き換え用紙を提出し、約10分
ほど待って、無事に「機械読み取り式」のパスポートを手にしたのです!
ヤレヤレ。これで、アメリカにビザなしで行けるのです。

このようにして、我々家族は、それぞれ別の場所で、別々の方法で新しいパスポートを取得したのですが、最後にオチが
待ってました。。。。。
それは、アメリカ側の報道でした。
『当初米国は、本件措置の開始時期を2003年10月1日と発表していましたが、その後2004年10月26日から実施することに
変更しました』
な〜んと! 1年も延長にしやがったぁ〜〜〜〜。
あの苦労と、出費はいったいなんだったんだぁ〜〜〜〜!!!!(爆笑)