スタッフからの「ひとこと」

お知らせ
この「スタッフからのひとこと」の
内容は、2005年10月当時の内容ですので、
今現在とは異なる内容もあります。
あらかじめ、ご承知置きください。

弊社「グリンデルワルト日本語観光案内所」スタッフからの、
「ひとこと」 メッセージです。


 スイスは世界でも鉄道が発達している国で、国内のどの地点からでも必ず16キロ以内には旅客鉄道の 
便があるといわれているほどです。
しかしそんな鉄道が乗り入れできない険しい谷や山奥への足として活躍するのが、PTTバス(ポストバス)
です。
連邦政府の郵政省(郵便・電話・通信)が管轄するポストバスの路線網は、鉄道の1.7倍に及びます。
バスの車体は黄色でPTTの文字とホルンがシンボルマークです。
このポストバスには現代の郵便制度につながる古い歴史があります。



昔々、手紙と言えば配達は飛脚に頼っていました。
飛脚にかかる労賃は高く、よほどのことがない限り一般市民では手紙は出せませんでした。
ちょうどその頃の人の旅と言えば馬車を使っていました。
お金持ちでない限り個人で所有することはできませんでしたので、乗合馬車です。

そのうち通行する道がある程度決まってくると、その道の途中に駅を設けました。
時刻表なんてものはありませんでしたが、馬車は必ずそこに停まるので、駅の周辺には現在で言う
ホテル・レストランのようなものが建ち、栄えていきました。
そんな様子を見たある人が乗合馬車で郵便物を一括して駅から駅へ運び、その駅から飛脚に運ばせれば
一般庶民でもコストを抑えて手紙を出せると考えました。
郵便制度の基礎の誕生です。

現代は馬車ではなくバスに替わりましたが、昔は馬車が停まる駅のことをポストと呼んだことから
「ポストバス」と名が通っています。ちなみにシンボルカラーの黄色は、乗合馬車が目立つようにと
黄色に塗ったことから、ホルンのマークは御者が郵便馬車が駅に到着することをいち早く駅周辺の
人たちに知らせる為、峠などで見通しの悪い所で通行を知らせる為に使われたからだとか。


現在でも鉄道では運べない郵便物を運ぶという本来の目的と、旅客を運ぶという目的で活躍しています。

ヨーロッパではずいぶん早くから郵便制度が確立しましたが、わが日本に取り入れられたのは明治に
なってからです。それまでのヨーロッパと同じ飛脚制度の日本の明治新政府が、鎖国による遅れを取り
戻そうと、欧米の新しい制度を取り入れることに燃えていました。
そんな時、前島密(現在の1円切手に描かれている人物)に欧米での郵便制度の視察が命じられました。
欧米では見るもの全てが驚きで、たった1枚の切手を貼るだけで先方に手紙が届くことにすら、彼に
とって目を見張るほどビックリしたと言います。
日本に視察から帰った前島は早速その制度を取り入れました。明治4年3月1日、東京〜大阪で郵便
業務が行なわれたのが始まりです。
切手・郵便局・郵便箱(ポスト)など今では当たり前のものですが、当時としては画期的なものばかり
でした。初めての物を見る当時の人たちの戸惑いも大変だったようで、郵便箱(ポスト)を見た時、
『郵便箱』を『垂れ便』と読み間違えて粗相をした人もいたとかいないとか…。


ヨーロッパのポストは郵便局のシンボルカラーにちなんで黄色が多いのですが、日本の赤いポストの
色や形はイギリスから制度を導入したからだそうです。


今では旧式のあの赤いポストは、なかなか日本でもお目に掛かれませんが、なんとここスイス・ユング
フラウヨッホにあるのです。ご自身へ、ご家族へ、お友達へ世界一高いポストから記念スタンプを
押して手紙を投函してみてはいかがでしょうか?
グリンデルワルト日本語観光案内所
森 美香

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